世界と時間の間
「都合良すぎるって・・」
石門に書かれた文字を心の中で呟き、
目から入ってくる情報を脳に再確認させ、
溜息を落とし、佇んでいる校舎を見た後、
綺麗に晴れ渡った青空を見上げ、
今までの事を思い出してみた。
朝、起きたら自分は若返っていた。
しかも、同じく若返った母親に叩き起こされた。
で、ゴハンの時の
「単身赴任したお父さんと、久し振りに会い、
東京に帰る際に一人は寂しいから向こうに帰らない!」
そう、泣きながら駄々を捏ね、父さんを愛してる母さんは速決したそうで・・・
私が思うに、言ってくれるのを待ってたんじゃないかなぁ・・
勝手な考えを思い浮かべ、遠くに視線が行っている事と、
校内に入って行く生徒達の視線に気付き、慌て門を潜り、職員室へと向かった。
「 と言います」
宜しくお願いします。
一礼と挨拶をして、指差された席へと腰を下ろし隣からの視線に
「よろしくね」
ぎこちない笑みと共に挨拶をし、返ってくる言葉に頷き、
教壇から聞こえてくる声に耳を傾け、ノートを取っていく。
解ると言う事は、覚えてるて事よね・・
良かった。と一息付き、解説されて行く公式を解いていく。
にしても、
まだ夢が覚めないなんて、何時間寝てるつもりかしらね・・・
進んでいく授業に、考えが膨らむ。
毎日繰り返される仕事がと人間関係に嫌になり直帰するが、
家に居てもやる事が無く、持っていたパソコンでネットをする中、
1つのHPにたどり着き、学生だった頃を思い出し、
置かれているモノを見始めて知った話しがあった。
漫画や小説に架空の人物を交ぜ、話しを進めていく『夢小説』を読み始めて
すぐに引き込まれ、それから毎日の様に読み漁り、
さらに詳しく知る為にマンガをも全巻買った。
あの買い方は社会人としての特権よね。
十数冊も手で持って帰って来たっけ・・・
重たかったなぁ〜
よそ事を考えながらも、黒板を写し取って行く。
本当に学生みたい・・
懐かしいと思える出来事にすんなりと体も気持ちも対応していく。
短い休みになれば質問攻めに合うも、なんとか親しい人物もでき、
何とか昼休みへと入っていった。
「あ・・お弁当・・・」
鞄の中に入っているハズのお弁当箱は無く、呆然とすれば、
「購買があるから買いに行くといいよ」
「私達、他のクラスより早く終わったし、
今ならゆっくり買えるよ」
回りに居たクラスメートに場所とアドバイスを教えて貰い、
小走りに駆け込めば、にこやかに笑うおばさんに、
「おや、もう終わったのかい?」
焼きそばパンあるよ。
そんな言葉に釣られ、焼きそばパンにミルクパンに牛乳を買い、
屋上へと上がる階段を上り青空を見ながらのご飯となった。
「そう、上手く行かないか・・・」
握ったパンを一口食べ飲み込んだ後に出たのは溜め息とグチだった。
物語では同じクラスで隣の席になったり、
バッタリなんて設定が多いのに・・
「そんな気配全くないし・・・
世の中上手く行かないものよね」
2度目の溜め息とグチを零し、パンをほうばる。
「天気良いなぁ〜」
視界に入る青空と雲にポッリと言葉を落とし、
今の季節が春なのを思い出した。
現実では冬でクリスマス1色に染まる季節だったのが今は5月
しかも、GW明けだなんて・・・
満喫したかったよ。
5連休・・・
職業によってはは5連休なんて早々無い。
連休なぞ忙しいだけで、時には殺意すら沸いてくる時もある。
良く学生を羨ましがってたなぁ・・・
春休みに冬休み
宿題があるが夏休みなんて1ヵ月半もある。
授業やテストで文句言ってるんじゃない!
て、思ったけ・・・
それに、勉強、頑張れば良かった・・
なんて後悔した時もあったなぁ・・・
特に英語と国語
後、夢小説を読んで部活もやれば良かったて後悔したっけ・・・・
何をするにも一生懸命が面倒臭くて、
簡単な部や帰宅部ばかりだった。
「この際、やり直す気で頑張るか!」
思いと気合いを込め、握り拳を空へ上げ、
「よし!」
気持ちを締め直せば、
「ウルサイんだけど・・」
何処からか聞こえてくる声に、
期待が膨らみ、にやける顔を引き締め辺りを見渡せば、
青空をバックにした眠たげな顔を見付けた。
声の出ない驚きって、体験しやすいんだね・・・
本日2度目の体験に飛びかけた意識が留まり、
何とか現状を確認する。
黒い髪に猫の様な目
越前リョーマ
動いてる・・
しかも、眠たそうな顔が可愛い!
視線を外さず見ていれば、機嫌を悪くしたのか
「ねぇ。
人の話し聞いてんの?」
微妙に変わった言い方に
怒った顔も可愛いよね!
心の中の自分が握り拳に力を込め、頷が、
再び違う所へと行き始める意識を戻す為、
「あ・・ごめんなさい・・・
まさか、声に出てるだなんて思わなくて・・・」
思っても無い言葉を口にし誤れば、
「別に・・・」
拗ねた様にそっぽを向いてしまった。
やだ・・本当に可愛すぎるって!!
悦に入りながら見つめていれば、
足元に転がっている大きなバックが目に入り、
「テニスバックだぁ」
うっかり声に出してしまった事に慌て、
どうしよう!
絶対ヘンなヤツだって思われたぁ!!
心の中でパニックになる中、
「テニス、知ってんの?」
そっぽ向いていた顔が自分に向き、
心の中の焦りが表に出始め、
「え!?
いや!ルールとか全然詳しい事は解らないんだけど、
その・・・・そう!スポーツ店とかで良く見かけて、
それで、知ってる、ぐらいかな!」
勝手に喋る口を止める事が出来ず、
出てくる言葉に、パニックになりながら話せば、
「ヘンな奴・・・」
笑い出しそうになってるのを無理して
クールにしている顔と言葉に、
なんか・・・・
今、きゅん・・て、きた。
くっそ・・・生王子は違うな
悔しさと幸せ気分感じながらも、
折角会えたんだから、この機会を逃すのは損よね!
浮かぶ考えに、必死に会話が続く様な言葉を探し、
「テニス好きなの?」
探し当てた言葉はありきたりすぎて、
私のバカぁ!
そんな、ありふれた言葉を言うなんてぇ!
冷静さを取り戻す事無く、心の中のパニックは続くが、
「別に・・・」
短い返事が返ってきた。
この際、言葉なんか探してられるか!
帰ってきた言葉に、踏ん切りが付き
「テニスって楽しい?」
次に質問をすれば、
「やってみたら解るんじゃない」
そっけないながらも答えは返してくれた。
「テニスかぁ・・・
難しそうだよね・・」
独り言のようにポッリとこぼせば
「やってもいないのに、そんな事解る訳ないじゃん」
いつの間にか真剣な声と表情に変わり、
まっすぐと向けられる視線に
「なんだか、ルールとか難しそうじゃない・・・」
大人特有の曖昧な笑みを浮かべて、
まっすぐな視線から逃れる。
「ふ〜ん
逃げるんだ」
どこかココロを見透かされた言葉に、
「だって・・・
ラケットにボールを当てるのが難しそうなんだもん・・・・」
拗ねた様に頬を膨らませ、
小さな声で返せば、
「アンタって本当に変な奴だよね・・」
呆れられ
「君は上手いからそんな事が言えるのよ!
あの空振りした時の恥ずかしさ・・・
もう、穴が合ったら入りたい。って思ったね」
それよりも、自分で掘った方がまだマシだけどね!
パニックで要領の限界を超えてしまった思考が
ヤケを起し、言葉や態度までに浸透し表に出た。
「テニスした事あんの?」
返ってきた言葉に、
冷や水を浴びせられた様に冷静になり、
私って本当に大馬鹿者よ!!
嵐の様の襲ってくる焦りに、
「テニスはナイデスけど・・・・
他のモノで全力で空振りをしましたです・・ハイ・・・」
カタコトで返事を返せば、
「アンタって本当に変なヤツだよね」
耐え切れず笑い出した顔に、
驚きながらも
すっごく得した気分!
感動し、胸の前で祈るように指を組むが
そっか・・中学生だもんね・・・・・
しかも、冬までは小学生だったんだよね・・・
大人の様に冷静に試合をする姿を見て
クールに作る言葉を読み、
自分の中で作り上げていた、
人物像が違っていた事に気が付いた。
自己反省をする中でも、
ランドセルを背負った姿も見てみたかった・・・・
邪念は消えることが無かった。